【Audi】A7(2011〜2014年モデル)を買おう

A7とは?

2011年にAudiから発売された新モデル「A7 スポーツバック」。4ドアセダンでありながら、流れる様なスポーティなボディ形状はまさにクーペそのもの。街中で走っていたら一目を置かれるであろう、セクシーで色気のあるスタイリングである。

A6とA8の中間に位置し、A6とプラットフォームを共有しているが、A6の兄弟車ではなく全く新しいアウディである。スタイリッシュなのはエクステリアだけでなく、インテリアも非常に上質。先進的でスタイリッシュに仕上がっている。また、8インチのポップアップ式ディスプレイやMMIタッチを標準装備し、機能面においても申し分ないだろう。

エンジンタイプはディーゼルエンジンのTDIとガソリンエンジンのTFSIの二種類が存在するが、日本ではガソリンエンジンモデルしか販売されていない。エンジンスペックは3.0リッターV6エンジンにスーパーチャージャーを搭載し、最高出力300馬力、最大トルク440Nmを発揮する。更に、アウディの4WDシステムであるクワトロシステムを搭載し、トランスミッションには7速DSGを採用している。ベースグレードかつ4ドアセダンであることを考えれば、十分すぎるスペックである。
もちろん、もっとスパルタンな走りを求めるドライバー達のために、本モデルにもS7・RS7がラインアップされている。

近年、メルセデスベンツCLS、BMW6グランクーペ、アストンマーチンラピード、ポルシェパナメーラなどの4ドアクーペが流行りつつある。その先駆者的な存在でもあるA7だが、初代A7(2011年〜)も200万円台で手に入れることができる様になった。
2018年にフルモデルチェンジされた2代目A7が発売された。A7が発売され今年で約10年経つが、スタイリングや走行性能は全く時代を感じさせない。本記事では初代A7の購入をご検討されている方に向けて、”A7の特徴”、”維持費や故障”について紹介していきたいと思う。

A7の特徴
スペック紹介

A7には大きく分けて3種類のモデルが存在する。
標準モデルである「3.0TFSI クワトロ」、スポーティ仕様の「S7」、S7をさらにチューニングした高性能モデルの「RS7」の三種類。「S7」、「RS7」については別記事で紹介することにする

 
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式 燃費 新車価格
3.0 TFSI クワトロ 2,994cc DOHC V型6気筒DOHCSチャージャー 310PS/44.9kg・m 7速Sトロニック 4WD 11.0km/L 約900万円
S7 3,992cc V型8気筒DOHCICターボ 420PS/56.1kg・m 7速Sトロニック 4WD 9.6km/L 約1,300万円
RS7 3,992cc DOHC 直列4気筒 ターボチャージャー付 560PS/71.3kg・m 7速Sトロニック 4WD 10.4km/L 約1,600万円
エクステリア(外見)

A6とプラットフォームを共有しているが、その見た目はA6とは全くもって別物である。流れるようなボディラインと1420㎜の低い全高は、フロントから見てもリアから見てもクーペそのもの。横から見て、ようやく4つドアが付いていることに気づかされるほどである。

大きさは全長×全幅×全高=4990×1910×1430mm。車幅が広く、全高が低いことが見た目をクーペたらしめているのだが、車幅1910mmはかなり大きい。立体駐車場などは車幅制限が設けられており、上限が1850mmに設定されているところが多いので、要注意である。

ヘッドライトはキセノン(オプションでLED)。ウェーブ形状のLEDポジショニングランプが特徴的である。フロントバンパーには大きめのエアインテークが左右に設けられ、ベースグレードながら上位グレードのS7と遜色ないスポーティな見た目である。リアにはLEDのコンビネーションランプを搭載。エキゾーストは左右二本出しとなっている。また、標準でも19インチのアルミホイールが付いていることは地味に嬉しい。

インテリア(内装)

内装はAudiの最高級セダンA8に勝るとも劣らないクオリティである。ウッドパネルと本革のステアリング・シートは標準装備で、スポーティというよりかは高級感溢れるエレガントな印象。

機能面では、ポップアップ式8インチナビディスプレイ、タッチパット付センターコンソール、アウディMMI(インフォメーションシステム)、シートヒータ付パワーシート、デュアルエアコン、BOSEプレミアムサウンドシステム等を標準装備。また、オプションでBang&Oulfsenハイエンドサウンドシステム、ヘッドアップディスプレイを選択可能である。新車価格が1000万円近いので、オプションなしの車両を選んでも機能面で不満はないだろう。

センターコンソールに付いているタッチパッドで操作する「MMIタッチ」の使い勝手は正直微妙。特に、日本で発売されているA7は右ハンドル仕様しかないので、左手でタッチパッドの入力を行わなければいけないのが少し不便に感じる。中古のA7を探すときに、Bang&Oulfsenのスピーカー(オプション)が付いている個体に出会えたらラッキー。エンジン始動共にダッシュボードから自動で浮き出てくるスピーカーはカッコよく、音質もカーオーディオ界トップクラスである。

後部座席については、非常にゆったり座れるが、クーペ形状のため頭上の圧迫感は否めない。また、2011年~2014年発売のモデルは後部座席には2人しか座れない。後部座席に2人座ってしまうと、運転手は後方の視界がほぼ遮られる状態になるので、カメラタイプのバックミラーを付けることをおススメする。後部座席にもエアコンのコントロールスイッチが搭載されていて、温度調節が可能である。

トランクスペースは後部座席を倒さない状態で535Lとかなり大きい。後部座席を倒してトランクスルーにした場合は1390Lの容量になる。リアガラスごと開くハッチバック形式になっているので、荷物の出し入れは楽々。テールゲートはボタン一つで開閉可能だ。

乗り心地・走行性能

乗り心地はクーペと高級セダンのいいとこ取りをしたような感じであるが、どちらかと言えば高級セダンA8に近い乗り味だろう。走り出しは、5メートル近くある車体の大きさからは想像できない程スムーズである。信号で止まればアイドリングストップ機能が働き、ピタッとエンジンが止まる。ハンドルも軽く、少し切ればしっかりと曲がってくれるので、街乗りでも十分な使いやすさである。兎に角、見た目以上の扱いやすさである。

乗りご心地が良すぎて運転が退屈かと言うと、そんなことはない。3.0リッターV6エンジンはスーパーチャージャーの力を借りて、低回転から高いトルクを生み出すので、非常に力強い加速が味わえる。7速Sトロニックのレスポンスも申し分ない。また、A7にはエンジン、トランスミッション、ステアリング特性がボタン一つで変えられる「アウディ ドライブセレクト」を搭載している。街中ではコンフォート、峠道はダイナミックを選択すれば、シーンにあった走行ができる。

高速走行でも抜群の安定性を誇る。これはクワトロシステム(4WD)のおかげだろうが、地面に吸い付いているようにスーっと加速する。また、速度に応じてリアスポイラーが自動で跳ね上がる演出も気分を高揚させる。

但し、個人的にはもう少しスポーティでも良いのではないかと思う。車を操る楽しさという面ではライバルであるBMW6シリーズグランクーペに軍配が上がるだろう。しかし、高級セダンとクーペのど真ん中に位置する車は多くない。それを実現した車がこのA7であり、どちらも程よく味わいたいならA7一択だろう。

安全性

A7は北米・ヨーロッパでの個体数がユーロNCAPやIIHSでテストが実施されていない。(ユーロNCAP:ヨーロッパで実施されている自動車安全テストで、乗員保護、歩行者保護、チャイルドプロテクション、安全支援機能の4種の観点からテストを行い、その結果をもとに得点が付けらる。IIHSはその北米版)

しかし、プラットフォームはA6と同じなので、凡そA6と同じ衝突耐性を兼ね備えていると考えて良いだろう。因みにA6は総合評価で星5つの満点を獲得している。

安全装備に関しては、デュアルフロントエアバッグ、サイドエアバッグ(全席)、運転席ニーエアバッグ、カーテンエアバッグ(全席)、リアIsoFix、ABS、トラクションコントロール、横滑り防止装置等が基本的なものは標準装備されている。

安全支援装備に関しては、アウディプレセンスプラス(アダプティブクルーズコントロール/サイドアシスト/アウディブレーキガード)が標準装備されている。サイドアシストは車線変更時に後ろから車が来ていた場合に警告する機能。アウディブレーキガードは衝突軽減ブレーキ(自動ブレー木キ)機能である。

更に2013年発売のモデルには、上記安全支援システムに加え、道路の白線逸脱を検知・警告する「アクティブレーンアシスト」を標準装備している。

A7 の維持費は??
基本維持費(固定維持費)
        
名目 金額(年間維持費) 金額(月間維持費) 内訳
自動車税 51,000円 2,542円 A7 TFSI:2,994cc
自動車重量税 16,400円 4,600円 車重1.5t超~2.0t以下 2年間で32,800円
自賠責保険 15,520円 1,300円 24ヵ月契約で31,040円
印紙 1,800円 150円
車検基本料 25,000円 2,100円 2年に一度で50,000円
車検基本点検料+24ヶ月点検+代行手数料
※依頼する業者によって異なります。
合計 109,720円 9,150円

上の表はA7の基本維持費になります。基本維持費とは税金や車検代などその車を所有する以上絶対に支払わなくてはいけない費用のことです。自動車税は二年に一回(原則一括払いだが場合によっては分割も可)で5月までに支払います。また、車検も二年に一回車検代として重量税+自賠責保険+印紙代+車検基本料を支払います(車検代も分割払い可能)。車検にかかる費用の内法定費用(重量税、自賠責保険、印紙代)はどこに車検を頼んでも変わりませんが、車検基本料は車検をお願いする業者によって大きく異なってくるので気をつけましょう(正規ディーラーに頼むとかなり高額です)。

基本維持費は年間換算にするとで109,720円です。

また、注意して欲しいのが、上の表の金額は基本維持費の最低金額であって車検時の点検で何か不備が見つかって部品交換をすることになると、追加で交換部品代(整備料金)を支払わなくてはいけません。何も異常がなければ交換部品なしで0円ですが、エンジンオイルやブレーキフルード、オイルフィルター、ブレーキパッドなどの消耗品の交換は必要になってくるので経験上50,000円くらいは交換部品代で車検代に上乗せされます。

変動維持費(※一例です)
 
名目 金額(年間維持費) 金額(月間維持費) 内訳
駐車場代 180,000円 15,000円 月額15,000円×12ヵ月で計算
任意保険 67,000円 5,600円 ・対人対物補償:無制限
・人身損害保険:5000万円
・車両保険:なし
・運転者:本人限定(26歳以上)
・等級:6等級(新規)
・ゴールド免許
ガソリン代 80,000円 6,670円 ・年間走行距離:5000km
・ガソリン代:約160円/L
・燃費:約10km/L
自動車ローン 566,136円 47,178円 ・支払総額:3,000,000円 (A7中古平均価格)
・頭金:500,000円
・借入金額:2,500,000円
・ボーナス返済額:なし
・年利:5%
・借入期間:5年(60回払い)
合計 893,136円 74,428円

続いてA7の変動維持費です。変動維持費とは駐車場代や保険料など車を所有する人の環境や乗り方によって変化する維持費の事です。変動維持費の中で大きな割合を占めるのは駐車代と自動車ローンです。駐車代に関してはピンキリで都内で所有するには15,000円~50,000円で郊外や戸建ての場合0~10,000円といったところでしょう。

自動車ローンに関しては頭金の額やボーナス月の返済額によって月々の支払額が大きく異なってきます。ローンを組まずに一括で購入してしまえばローンは0円ですし、頭金を多く払えばその分月々の返済額は安くなります。上の表は総額300万円の中古のA7を頭金に50万円を支払い5年ローン(60回払い)で購入したケースです。この場合は月間維持費が74,428円ですが、頭金を100万円にした場合は64,428円になります。

また、任意保険ですが保険会社やプランによって額が異なってきますが、任意保険料の大小を一番大きく左右させるのは”車両保険を付けるか付けないか”です。正直なことを言ってしまうと車両保険は付けるに越したことはありません(新車なら絶対につけます)。しかし、保険は掛け捨て(何も起こらない限り損)であり私の場合はなるべく維持費は安く抑えたいので中古車の場合は(車種によりますが)車両保険を付けないことが多いです。どうしても心配な方はエコノミープランなどの車両保険に加入することをお勧めしま

A7の故障は??

2011年~2014年発売のA7では故障報告はそれほど多くは聞きません。A7特有の故障といえば、7速Sトロニック(デュアルクラッチトランスミッション)の不具合。または、タイミンクチェーンの緩みによるエンジンからの異音くらいでしょう。2011年~2012年発売のモデルでは、一部燃料漏れの故障が報告されていますが、リコール対象となっています(無償修理対象)。A7はハイテク装備が数多く搭載されているので、電装系の故障のリスクを抱えています。しかし、電装系のトラブルを含め上記の様な故障はしっかりとしたメンテナンスを行っていれば回避できることがほとんどです。2011年~2014年発売のA7はリーズナブルな価格で手に入れることができますが、走行距離が長い個体も多くあります。購入時には、整備・点検記録に目を通し、定期的にメンテナンスが行われているか確認しましょう。

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