【BMW】5世代目 3シリーズ(2005~2012年式)を買おう【中古車選び】実験

5代目3シリーズ(E90・E91)とは?

5代目3シリーズ(E90・E91)はBMWが2005年から2012年かけて発売していた4ドアのセダン・ステーションワゴンタイプの自動車です(セダン:E90、ワゴン:E91)。ライバルはベンツCクラス、Audi A4、ジャガーXFで日本車ではマークXなどが挙げられます。5代目3シリーズは4代目に比べ全長が長くなり、後部座席の居住性が向上。更に、センターに埋め込まれた8.8インチワイドモニター型ナビゲーションを標準装備し、オーディオやナビ、車体情報をコントロールできるiDriveを搭載。日本市場をターゲットにした右ハンドル仕様(マイナーチェンジ後)は、4代目3シリーズよりも車幅を15㎜短くした1800㎜となっており、日本の機械式立体駐車場に収まるボディサイズにするなど、日本国内での取り扱いのし易さが大幅に向上しました。BMW3シリーズは、BMWのラインアップの中で最も販売台数が多い車種であり、利便性と走行性を両立したスモールラグジュアリーカーです。
2012年になり6代目3シリーズ(F30)が発売され、2019年には7代目3シリーズ(G20)が発売。5代目3シリーズも中古で150万円以下と大変リーズナブルな価格で手に入れられるようになってきました。本記事で5代目3シリーズの購入をご検討されている方に向けて、”5代目3シリーズの特徴”、”おすすめのグレード”、”維持費や故障”について説明していきます。

5代目3シリーズ(E90・E91)の特徴
スペックのご紹介

5代目3シリーズは2005年~2008年に発売されたモデルと2008年~2012年に発売されたモデルとでスペックが異なります。スペックは下の表の通りです。

 
<E90・E91(2005年~2008年) 前期モデル>
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式 燃費 新車価格
320i 1,995cc 直列4気筒DOHC 170PS/21.4kgm 6速AT/6速MT FR 14.2km/L 約430万円
325i (E90) 2,496cc 直列6気筒DOHC 218PS/25.5kgm 6速AT FR 11.6km/L 約520万円
325i xDrive(E90) 2,496cc 直列6気筒DOHC 218PS/25.5kgm 6速AT 4WD 11.6km/L 約520万円
335i 2,979cc 直列6気筒DOHCツインターボ 306PS/40.8kgm 6速AT FR 8.9km/L 約650万円
     
<E90LCI・E91LCI(2008年~2012年)後期モデル)>
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式 燃費 新車価格
320i 1,995cc 直列4気筒DOHC 150PS/20.4kgm 6速AT/6速MT FR 11.4km/L 約430万円
323i (E90) 2,496cc 直列6気筒DOHC 177PS/23.5kgm 6速AT FR 9.4km/L 約490万円
325i 2,496cc 直列6気筒DOHC 218PS/25.5kgm 6速AT FR 8.9km/L 約510万円
330i (E90) 2,996cc 直列6気筒DOHC 258PS/30.6kgm 6速AT FR 9.3km/L 約640万円
330xi (E90) 2,996cc 直列6気筒DOHC 258PS/30.6kgm 6速AT 4WD 9.0km/L 約670万円
335i 2,979cc 直列6気筒DOHCツインターボ 306PS/40.8kgm 6速AT FR 8.9km/L 約650万円

3シリーズにはセダンタイプ(E90)とステーションワゴンタイプ(E91)が存在し、どちらのモデルでもスペックは上の表の通りです。直4エンジン搭載モデルと直6エンジン搭載モデルでは当然パワーや燃費に差が出てきます。パワーで選ぶなら直6エンジン搭載のモデル(323i~335i)、燃費で選ぶなら直4エンジン搭載モデルの320iでしょう。前期型と後期型でパワー等に関する劇的な変化はありませんが、全モデル燃費性能が向上しています(LCI:マイナーチェンジのこと)。ちなみに、中古市場に最も多く流通しているのがベースグレードである320iで、その他のグレードはタマ数が少なく自分に合った個体を見つけるのが少し難しいので、良いと思った車両を見つけたら早めの購入をオススメします。

セダン(E90)のエクステリア(外見)

まずはセダンタイプから見ていきましょう。2005年頃はベンツやアウディなど他メーカーでも丸っこいデザイン(特にヘッドライトなど)が流行っていたので、5世代目3シリーズも流行に乗り全体的にやや丸みをおびたデザインになっています。車高は若干低めで、コンパクトセダンですがスポーティな印象。4代目3シリーズに比べ流線的なボディ形状になりましたが、それまでのBMW感は若干薄れてしまいました。しかし、BMWのシンボルであるキドニーグリル(フロントの2つのグリル)とヘッドライトユニットの光の輪(通称イカリング)は装備されており、特徴的なデザインではないものの 、今見ても古さをあまり感じないデザインです。

ステーションワゴン(E91)のエクステリア

次にステーションワゴン(E91)を見ていきましょう。大きさはセダンタイプと変わらず全長×全幅×全高:4525×1815×1440㎜。ややシューティングブレークっぽくなっているリアがスタイリッシュさを醸し出しています。3シリーズはコンパクトセダンにあたる車なので、セダンタイプですとどうしてもリアのトランク部分が短くなってしまい、後ろから見るとやや迫力に欠けてしまいます。しかし、ステーションワゴンタイプのE91はこの弱点を上手くカバーしています。同じ3シリーズでもE91の方が少し大きく見えるでしょう。

前期型と後期型ではどう違う??
①グリル・ライト・バンパー形状
前期型
後期型

まずはフロントグリルですが、前期型と後期型で若干形が異なります。BMWの代名詞と言って良いキドニーグリルですが、前期型ではグリルがやや角ばっていてグリルの上面メッキがボンネットにくっついています。しかし後期型では、グリルは丸みをおびてボンネットとグリルは分離しています。ボンネット形状も後期型になるとセンターに二本のラインが入ると同時に、バンパー形状も流れる様なデザインになって、よりスポーティな見た目へと変化しています。また、後期型ではヘッドライトに内臓されているウインカーがLEDになっています。

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前期型
後期型

続いてリアです。パッと見ではほぼ同じ様に見えますが、テールランプの形状が異なっています。後期型からはL字型のライトに変更され、前期型と比較して少し尖った印象に。リアの変更点はテールランプ形状以外はありません。

②内装
後期型 iDrive操作ダイアル

内装に関しては前期型と後期型で大きな違いはありません。しかし、BMWのナビゲーションシステムであるiDriveの性能が後期型では大幅に向上しています。それに伴い、ナビゲーションディスプレイの高画質化とiDriveの操作ダイアル(写真)が新しくなり、ダイアル周りにボタンを配置しナビの操作性も向上しています。

③ボディサイズとエンジン

実は前期型と後期型ではボディサイズが若干異なっています。前期型は車幅が1815㎜なのに対し、後期型は1800㎜と少し短くなっています(全長と全高は変化なし)。これは日本の立体駐車場などは車幅1800㎜以上の車は入らない仕様になっているものが多く、日本での使い勝手を意識したサイズ変更と言えるでしょう。また、エンジンの出力等も前期から後期にかけて若干ですがパワーアップしています(詳しくは”スペックのご紹介”を見てください)。

インテリア(内装) セダン編

内装に関しては現行のBMW程の最先端感や派手さは感じられませんが、決して古臭さなどは感じられず、上質で落ち着いたデザインです。ボタン類やシフトノブなどのプラスチックパーツなどは若干の安っぽさを感じるものの、大きく太いステアリングやセンターコンソールに堂々と配置された8.8インチのナビディスプレイは現行車に負けずとも劣らない高級感を演出しています。インテリアパネルは標準で金属調、ハイラインでウッドパネル(画像はこれ)、Mスポーツパッケージでアルミパネルになります。また、Mスポーツパッケージを選択すると、ステアリングの一部がパンチングレザーになりかなり迫力が増したハンドルになります。それに加え325i以上のモデルはステアリングにパドルシフトが装備されます。サンルーフもオプション装備なので、解放感を求めるならサンルーフ付きの個体を選びましょう。

シート形状はスポーツシートと標準シートの二種類(スポーツシートはMスポーツPKGのみ)。スポーツタイプだとサイドサポートがついたシートになります。また、シート素材は標準がファブリック、オプションで本革を選択可能です。標準シートでも十分ホールド感はありますが、スポーツシートの場合はそれ以上なので街乗り以外のワインディングなどを楽しみたい方はスポーツシートが装備されている個体をお勧めします。スポーツシートのサイドサポートはシート横のボタンでキツさを調節可能ですが、標準シートと比較して少し窮屈感は否めません。

コンパクトセダンと言えど、後部座席のスペースは十分。大の大人が長時間乗っても全く疲れることはなく、かなり快適に乗れます(真ん中の席は足元が少し窮屈ですが…)。

トランクスペースは後部座席を倒さない状態で460L。このクラスの車にしては十分なサイズで、Lサイズのスーツケース2個は積むことができます。後部座席を倒しトランクスルーにすると約1300Lの容量になるので、ゴルフバッグ3つは積載可能です。

インテリア(内装) ステーションワゴン編

運転席、ダッシュボード等の基本的な内装はE90のセダンと同じです。異なっている点は後部座席とトランクスペース。後部座席に関して言えば、各段に広くなっているといったわけではないですが、リアがワゴンタイプになっていることで頭上の圧迫感は全くありません。ワゴンタイプの後部座席は結構な解放感があるので、長身の方が乗る場合はワゴンタイプの方が少し楽に感じるはずです。

そして、セダンとの一番の違いはトランクスペース。後部座席を倒さない状態で480L。セダンと20L程度しか差がないですが、トランク容量の計測方法が少し特殊なのでセダンよりかは確実に多く荷物を積むことができます。後部座席を倒すと約1400Lになります。後部座席を倒さない状態でも結構な荷物を積載可能なので家族旅行に行く時などは収納に困ることはありません。また、ワゴンタイプではリアウィンドウが独立開閉式になっていて、トランクを開けなくてもリアウィンドウだけ開けることができるので、トランクに収納した荷物の出し入れが非常に楽になっています。

乗り心地・走行性能

試乗車は325i(セダン)。運転席に座ると、スポーツカーまとまではいかないが国産車よりも若干フラットな姿勢になるので気分はクーペに乗っているような感じに。しかし、フロントウィンドウからの視界は良好。プッシュスタートを押しエンジンをかけると「ドロドロ」と音を立ててエンジンが始動します。純正マフラーですが、こういったマフラーサウンドは男心をくすぐります(335iは更に力強いサウンドです)。走り出しはいたって普通でスムーズ。しかし、ハンドルを切ってコーナーを曲がった時、BMW3シリーズの良さを体感することができます。
ハンドルを少し切ればボディは機敏に反応し、即座にドライバーの思った方向へと車体の向きを変えてくれます。高いボディ剛性とサスペンションによって、高速時であっても全くロール(ふらつく)することなく曲がっていきます。また、適度に重み付けされたステアリングから、しっかりと車をコントロールしている感を感じられるので、街乗りであれワインディングロードであれドライビングを楽しむことができます。

ライバル車であるベンツCクラスやAudi A4に比べ、先代のBMW3シリーズまでは、運転する楽しさを優先する余り安定性には少し欠けていた印象があります。しかし、5代目3シリーズでは安定性を大幅に向上させ、高速走行時やコーナリング時に不安定さを感じることはなくなりました。
パワーに関しては、日用使いや街乗りを楽しむ分には320iや325iで必要十分。よりスポーティな走行を求める方はMスポーツPKGが付いた個体がオススメですが、サスペンションがノーマルよりも若干固めに作られているので、乗り味はすこし硬めになります。

安全性

IIHSの評価を見てましょう。IIHSとは米国で実施されている自動車安全テストのことで、正面衝突強度、側面衝突強度、横転時屋根強度、座席安全性の4種の観点からテストを行い、その結果をもとにGood(優)、Acceptable(良)、Marginal(可)、Poor(不可)の4段階で評価が付けられます。
5代目BMW3シリーズは正面衝突強度がGood、側面衝突強度がGood、横転時屋根強度がAcceptable、座席安全性がGoodという結果でした。

衝突時の安全性に関しては問題ないでしょう。
安全装備に関しては、デュアルフロントエアバッグ、フロントサイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、ABS、ブレーキアシスト、トラクションコントロール、コーナーブレーキコントロール等が標準装備されています。
E90・E91には衝突軽減ブレーキ等の安全支援装置は付いていません(オプションでもなし)。駐車時のコーナーセンサーはオプション装備ですが、社外品を後付けすることもできるので、中古車を選ぶ時は「付いていたらラッキー」くらいに考え、特に気にする必要はないでしょう。

5代目3シリーズの維持費は??
基本維持費(固定維持費)
   
名目 金額(年間維持費) 金額(月間維持費) 内訳
自動車税 36,000円 (320i)
43,500円 (325i)
50,000円 (330i,335i)
3,000円 (320i)
3,625円 (325i)
4,200円 (330i,335i)
320i:1,995cc
325i:2,496cc
330i:2,996cc
335i:2,979cc
自動車重量税 16,400円 2,750円 車重1.5t超~2.0t以下 2年間で32,800円
自賠責保険 15,520円 1,300円 24ヵ月契約で31,040円
印紙 1,800円 150円
車検基本料 25,000円 2,100円 2年に一度で50,000円
車検基本点検料+24ヶ月点検+代行手数料
※依頼する業者によって異なります。
合計 94,720円 (320i)
102,220円 (325i)
108,720円 (330i,335i)
7,900円 (320i)
8,520円 (325i)
9,060円 (330i,335i)

上の表は5代目3シリーズ(E90・E91)の基本維持費になります。基本維持費とは税金や車検代などその車を所有する以上絶対に支払わなくてはいけない費用のことです。自動車税は二年に一回(原則一括払いだが場合によっては分割も可)で5月までに支払います。また、車検も二年に一回車検代として重量税+自賠責保険+印紙代+車検基本料を支払います(車検代も分割払い可能)。車検にかかる費用の内法定費用(重量税、自賠責保険、印紙代)はどこに車検を頼んでも変わりませんが、車検基本料は車検をお願いする業者によって大きく異なってくるので気をつけましょう(正規ディーラーに頼むとかなり高額です)。
基本維持費は年間換算にすると320iで94,720円、325iTFSIで102,220円、330i・335iで108,720円です。

また、注意して欲しいのが、上の表の金額は基本維持費の最低金額であって車検時の点検で何か不備が見つかって部品交換をすることになると、追加で交換部品代(整備料金)を支払わなくてはいけません。何も異常がなければ交換部品なしで0円ですが、エンジンオイルやブレーキフルード、オイルフィルター、ブレーキパッドなどの消耗品の交換は必要になってくるので経験上50,000円くらいは交換部品代で車検代に上乗せされます。

変動維持費(※一例です)
 
名目 金額(年間維持費) 金額(月間維持費) 内訳
駐車場代 180,000円 15,000円 月額15,000円×12ヵ月で計算
任意保険 67,000円 5,600円 ・対人対物補償:無制限
・人身損害保険:5000万円
・車両保険:なし
・運転者:本人限定(26歳以上)
・等級:6等級(新規)
・ゴールド免許
ガソリン代 80,000円 6,700円 ・年間走行距離:5000km
・ガソリン代:約160円/L
・燃費:約10km/L
自動車ローン 226,900円 18,900円 ・支払総額:1,500,000円
・頭金:500,000円
・借入金額:1,000,000円
・ボーナス返済額:200,000円
・年利:5%
・借入期間:5年(60回払い)
合計 553,900円 46,160円

続いて5代目3シリーズの変動維持費です。変動維持費とは駐車場代や保険料など車を所有する人の環境や乗り方によって変化する維持費の事です。変動維持費の中で大きな割合を占めるのは駐車代と自動車ローンです。駐車代に関してはピンキリで都内で所有するには15,000円~50,000円で郊外や戸建ての場合0~10,000円といったところでしょう。
自動車ローンに関しては頭金の額やボーナス月の返済額によって月々の支払額が大きく異なってきます。ローンを組まずに一括で購入してしまえばローンは0円ですし、頭金を多く払えばその分月々の返済額は安くなります。上の表は総額150万円の中古の3シリーズを頭金に50万円を支払い5年ローン(60回払い)で購入したケースで、ボーナス返済200,000円で月々の支払額は18,900円になります。
また、任意保険ですが保険会社やプランによって額が異なってきますが、任意保険料の大小を一番大きく左右させるのは”車両保険を付けるか付けないか”です。正直なことを言ってしまうと車両保険は付けるに越したことはありません(新車なら絶対につけます)。しかし、保険は掛け捨て(何も起こらない限り損)であり私の場合はなるべく維持費は安く抑えたいので中古車の場合は(車種によりますが)車両保険を付けないことが多いです。どうしても心配な方はエコノミープランなどの車両保険に加入することをお勧めしま

5代目3シリーズの故障は??

E90・E91でよくある故障はラジエーターの冷却水漏れ、エンジンオイル漏れ、センサー類の不具合などが挙げられます。冷却水・オイル漏れなどはホース等の消耗品が劣化して起こることが多いので、少し仕方ない部分はありますが、どちらも工賃込みで10万円くらいで修理可能です。センサー類の不具合も、OEM品などを使って修理すれば5~10万円程度で修理できます(純正品×ディーラでの修理だと超高いです)。
また、エンジンオイルとトランスミッションオイルもこまめに交換しましょう。オイル類の劣化によりエンジン・トランスミッションがダメになるケースは珍しくありません。この場合、修理代も50万円~とかなりの高額になるのでしっかりメンテナンスしましょう。
購入時は点検・整備記録に目を通し、可能であれば試乗してください。当然ですが年式が新しいほど故障のリスクは低くなるので、予算と相談してなるべくコンディションの良い個体を選びましょう。
不測の事態に備え、E90・E91を購入する場合は手元に50万円程度用意しておくと安心です。

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