【中古車】ベンツ 初代CLSの購入を考える

  初代CLS(C219)とは?

・4ドアクーペの火付け役

2004年、メルセデスベンツから発表されたCLSクラス。それまでのセダンの常識を覆す様な流線形のクーペ調シルエットが特徴的な4ドアセダンである。メルセデスはセダンではなく、あくまで4ドアクーペと称している。今では、アウディのA7、BMW8シリーズグランクーペ、ポルシェパナメーラなどクーペっぽい見た目の4ドアセダンが増えてきたが、その火付け役になったのが初代CLS(C219)と言っても過言ではない。今では3代目が現行であるが、初代のデザインが好きな方も多いことだろう。結構な人気車種で、中古市場の球数も多いので、初代であれば100万円以下で手に入る個体も多くなってきた。CLSはどんな車なのか?中古で購入する場合の注意点などをご紹介していこう。

  初代CLSを詳しく見てみよう

・スペック

グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式 燃費 新車価格
CLS350 3,497cc V型6気筒DOHC 272PS/350N・m 7速AT FR 8.5km/L 約850万円
CLS500 4,965cc V型8気筒SOHC 306PS/460N・m 7速AT FR 7.0km/L 約1,030万円
CLS550 5,461cc 直列4気筒DOHCターボ 387PS/530N・m 7速AT FR 7.4km/L 約1,040万円
CLS55 AMG 5,438cc V型8気筒SOHCSチャージャー 476PS/700N・m 5速AT FR 6.4km/L 約1,400万円
CLS63 AMG 6,208cc V型8気筒DOHC 514PS/630N・m 7速AT FR 5.7km/L 約1,430万円

日本では2005年に発売され、最初はCLS350、CLS500、CLS55 AMGのグレードがラインアップされていたが、2006年からはCLS500とCLS55 AMGのグレードが消滅し、CLS350、CLS550、CLS63 AMGの3種類のグレードとなった。CLS55とCLS63はAMGによる専用チューニングが施された、ハイパフォーマンスモデルとなっている。

・エクステリア(外装)

大きさは、全長×全幅×全高=4915×1875×1430mm。運転に困るほどではないが、車幅は結構広い。流線形のクーペ調のシルエットは非常にスポーティかつ上品。いかにもメルセデスらしい車である。セダンではなく、「4ドアクーペ」という呼び方がしっくりくる見た目で、発売から10年以上経つが、古さを感じさせない1台である。

・インテリア(内装)

内装は一世代前のメルセデスベンツといった感じ。10年以上前に発売された車なので、当然新しさはないが、この時代のベンツの内装は高級感があって個人的にはかなり好き。ナビはタッチパネル式ではない普通のナビ。しかし、メルセデスの中では上位グレードなので、メモリー機能付きパワーシート、シートヒーターなどの快適装備は標準装備されている。後期型になるとステアリングの形状が3本スポークになるが、基本的な機能はあまり変わらない(個人的には前期型のステアリング形状の方が好み)。 後席は2人乗り。真ん中には小物入れとカップホルダーが備え付けられている。シートの座り心地は非常に良いが、クーペ形状のボディなので、EクラスやSクラスに比べ頭上はやや圧迫感を感じる。2010年以降発売のモデルでは4席独立エアコンが標準装備される。

・トランクスペース

トランクスペースは後部座席を倒さない状態で505L(前期型は495L)。後部座席を倒せば約1400Lにもなるが、トランクスルーの機能は標準装備ではないので気を付けよう。

・走行性能

ベースグレードのCLS350でも0-100km/h:約7秒で十分な加速力があり。加えて乗り心地も申し分ない。アクセルレスポンスも良く、低音でも高音でもないエンジン音は魅力の1つだろう。もちろん、CLS550の方がさらに余裕のある加速と力強いエンジン音を兼ね備えていることは言うまでもないが、維持費とかを考えるとCLS350でも十分である。

CLS550では標準装備のエアサス(CLS350ではオプション)も、走行スタイルに合わせて「コンフォート」「スポーツ」の2種類から選ぶことができる。スポーツモードを選択すればよりタイトな走りをすることができる。

非常に安定した走りをする車だが、その一方で落ち着き過ぎているため、ハンドルからのフィードバックを含め車を運転している感を楽しみたい人にはやや物足りないかなと感じる。この点では、ポルシェパナメーラやAudi A7の方が勝っているのではないかと思う。

・安全性

初代CLSの安全性はどうだろう?Euro NCAPやIIHS(ヨーロッパやアメリカの自動車安全性を評価する団体)でのテストが行われていないので、定量的な評価は難しいが、CLSはEクラスのボディをベースに作られており、剛性もEクラスに匹敵する。この時代のEクラスはEuroNCAPで高い評価を得ているので、同等の安全性を兼ね備えていると考えてよいだろう。エアバック等も必要な個所にはすべて備え付けられている。しかし、衝突軽減ブレーキなどの安全支援システムはオプションでも用意されていなかったので、安全性を意識する方はレーダーセーフティが付いている2代目CLSの購入を検討しよう。

2008年式以降の個体には全グレードで、前後バンパー付近の障害物を感知するパークトロニックとクルーズコントロール(ディストロニック)がオプション装備されているので、長距離移動に使う人はクルコン付きの個体を選ぶことをおススメする。(ちなみに、ステアリングを切った時にヘッドライトの照射方向が追従する機能は初期モデルから搭載されている。)

  初代CLS(C219)の故障は?

・エンジン系の故障

初期のCLS350においては、エンジンの静粛性を保つためのバランサシャフトの問題に問題があることが多い。また、ラバーバンからオイルが漏れているかどうかも確認しよう。オイル漏れがある個体は避けたほうが賢明である。

・トランスミッション系の故障

CLS55 AMG以外の全グレードに搭載されている、7速AT(7G-Tronic)はスピードセンサーが故障することがある。この故障が起こると、ギアが固定され変速できなくなり、エンジンにダメージを与えてしまう。センサー系の故障は、エンジンをかけた時にスピードメーター中央のディスプレイに警告が出るのでで必ず確認しよう。センサー系の故障はヨーロッパ車あるある。タイヤ圧のセンサー故障であればそのまま走っても問題ないが、エンジン系センサーの故障はすぐに直そう。これも前期型によく見られる故障なので、購入する場合は2007年~をおススメする。

・ボディ、サスペンション系の故障

車をリフトアップして後輪のサスペンションが故障へたっていないか確認しよう。オプションのエアサスが装備された個体は、ポンプの経年劣化で故障することがよくある。ベンツのエアサスの交換は高額なので、エアサス非装備の個体を選ぶか、装備車の場合は錆びていないか、交換されているかを確認しよう(CLS550は標準装備)。

また、すり傷がないかやホイール表面の傷は細かく確認しよう。ある場合はぶつけている可能があるので、要注意。(飛び石のキズくらいであれば気にしなくてもOK)

また、点検簿・修理歴には必ず目を通しましょう。

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